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大学選びのプロになれるのは保護者だけ
うちの子、まだ何もわかってないのに大学決めちゃって大丈夫かしら…
大学選びは、間違いなく子供自身の仕事です。最終的にどの大学を選ぶか、その決定権は子供に持たせるべきだと私は思います。
ただ、「うちの子はまだ社会のことを何も知らない。突発的な興味で志望校を選んでいるんじゃないか」という不安も、ごもっともな部分があります。
最終決定権はあくまで子供に持たせるという前提のうえで、私はあえてこう言いたいのです。
大学選びのプロになれるのは、保護者だけです
この記事の著者:
受験ペアレントアドバイザー 前島 健太郎(MAESHIMA Kentaro)
元大手予備校職員/元私立高校事務職員/現役大学職員
という、受験を取り巻く3つの現場を経験。教育現場を最前線で見てきた経験から、現場では言えない「リアル」な意見をお伝えしています。
保護者にしかできない「軍師」という役割

保護者の皆さまは、子供よりもずっと長い年月をこの社会で生きてきました。多くの世界を見て、多くの選択をしてきたはずです。
その経験を、ぜひお子様の受験にも活かしてほしいのです。ただし、それはあくまで「黒子」としての活かし方です。
最強の将軍には、必ず優秀な軍師がついています。今、皆さまが目指すべきなのは、この最強の軍師です。
では、受験界最強の軍師は何をするのか。それは、情報の提供です。ただし、やみくもにデータを並べるだけでは意味がありません。子供の性格や、子供が本当に求めている情報を的確に見極めたうえで、届けるのです。
軍師の仕事は「情報を集めること」ではなく「情報を選んで届けること」
具体的に軍師が集めるべき情報を、2つご紹介します。
子供の得意科目を最大限に活かせる入試制度を探す

たとえば、英語が得意なお子様であれば、英語の配点が高い入試制度を見つけてくる。逆に英語が苦手であれば、英語のウェイトが低い制度、あるいはそもそも苦手科目を使わずに戦える制度を見つけてくる。
もちろん、受験生本人も志望校選びはたくさん行います。しかし、隅まで細かく見ることは難しいです。見落としてしまっていることもあると思います。そういった志望校選びの際に抜けてしまった、スルーされてしまった、見つけることのできなかった入試方式などを、ぜひ保護者の皆さまの視点でフォローしてあげてください。
また、どんな視点で探したらいいのか、という点については、1点アドバイスがあります。
受験業界には「隔年現象」というものがあります。ある年に倍率が上がった学科は、翌年には反動で競争率が下がりやすいという傾向です。これは過去数年分のデータを追えば、ある程度の傾向として見えてきます。あくまで「傾向」の話ではありますが、参考にする価値はあると思います。
そしてこれは完全に大学職員としての裏話になりますが、文部科学省が定める「収容定員充足率」というものが、実は各大学にとって非常に悩みの種です。すごくざっくり言うと、「定員の1.1倍以内に収めなさい」というルールがあり、これを超えると大学側にはペナルティがあります。
つまり、定員に対してすでに学生数が多い傾向にある学部・学科は、その年の入試で大きく学生を獲得しにくいという構造があるのです。ここまで踏み込んで分析するのは、正直なところ大学職員や予備校スタッフの仕事の領域ではありますが、一つの視点として知っておいて損はありません。
受験生が見つけてこれなかった「ピッタリの入試」を見つけるのがポイント
とにかく入試の多様化が進んで、良い入試が見落とされがちなのも事実です。
入試制度の選定という観点では、AIもまだまだテキトーなことを言っているな、というの印象です。
子供の大学選びの軸に合う「隠れ大学」を見つけてくる

お子様に合った施策や方針を打ち出している大学は、必ず存在します。少子化が進む中、大学側も生き残りに必死です。各大学が、それぞれの色を必死に打ち出しています。
ただ、その「色」は知名度とはまったく比例しません。全国的な知名度がなくても、教育の中身や支援体制で独自の強みを持っている大学は、決して珍しくありません。知名度がそのまま大学の実力を表しているわけではない、というのが現場にいて一番強く感じることです。
そして、こういった「隠れた強み」は、パンフレットのアピールポイントとしても大きく打ち出されていることが多いです。ですので、まずは複数の大学のパンフレットを並べて、就職支援・ゼミ・少人数教育など、同じ項目で比較してみるだけでも、意外な発見があるはずです。
そのうえで、こうした情報を一番早く、深く手に入れる方法は、大学職員から直接話を聞くことです。
ぜひ、会場型の進学相談会などに足を運んでみてください。保護者だけで来られる方もたくさんいます。むしろ、お子様がいないからこそ聞ける本音の話もあります。「実際どのくらいの学生が就活の個別相談を利用していますか」「ゼミに入らず卒業する学生はどのくらいいますか」といった、相談もいいですし、「うちの子、内気なんですけど、就活支援はそういう子でも利用しやすいですか?」なども聞くチャンスです。パンフレットには書きにくい質問ほど、対面でしか聞き出せません。
ぜひいろいろな大学の話を聞き込んで、多くの情報を集めてみてください。それは必ず、お子様に合った戦略を描くための材料になるはずです。
保護者だけの参加、まったく問題ありません
お子様がいない場だからこそ、本音で話せる質問もたくさんあります。
進学フェアなどを使い倒してほしいです。我々もいただいた質問を、大学運営のヒントにしています。
見極めた先で大切な「代替案」という考え方

情報を集めていく中で、「この大学が謳っている将来像は、うちの子の未来には少し違うかもしれない」と感じることもあるでしょう。その本質を見極めるのも、軍師である保護者の大事な役目です。
ただし、それに気づいたとしても、頭ごなしに否定してはいけません。「その大学はやめておきなさい」と結論だけを伝えると、子供からすれば自分の選択そのものを否定された気持ちになってしまいます。大事なのは、否定と一緒に、必ず次の一手を用意しておくことです。
具体的には、次の2つの方向性があります。
- 同じ系統で、より実績のある大学を1〜2校ストックしておく
- 学部そのものだけでなく、「副専攻」や「他学部聴講」など、入学後にカバーできる制度がないかを提示する
1つ目は、いわば「保険」の考え方です。気になる点があった大学と同じ方向性でありながら、その部分の実績や体制がより整っている大学を、事前にいくつか調べておく。いきなり代案を出すのではなく、普段からいくつかの選択肢を並行して情報収集しておくことで、いざという時に慌てず提示できます。
2つ目は、「入学後に取り返せるかどうか」という視点です。学部そのものが完全に希望と一致していなくても、副専攻制度や他学部履修、留学制度などを使えば、入学後に軌道修正できる大学は少なくありません。「その学部でなければダメ」なのか、「入学後の工夫で補えるのか」を切り分けて考えることで、選択肢はぐっと広がります。
いずれにしても大切なのは、「違う」で会話を終わらせないことです。違和感を伝えるのであれば、同じ熱量で代わりの選択肢も一緒に差し出す。それができて初めて、保護者の指摘は子供にとって「押し付け」ではなく「相談できる材料」に変わります。
「違うと思うよ」で終わらせず、「じゃあこっちはどう?」まで用意する。それだけで、お子様の受け取り方は大きく変わります。
まとめ
- 大学選びの最終決定権は子供にある。これは揺るがない前提
- 保護者にできるのは、決定権を奪うことではなく「軍師」として情報を届けること
- 得意科目を活かせる入試制度、隠れ大学の発掘は保護者だからこそ調べられる
- 違和感を覚えたら、否定ではなく代替案とセットで伝える
子供より長く社会を見てきた経験は、口出しのためではなく、情報提供のために使ってこそ価値があります。ぜひ、お子様の受験における「最強の軍師」を目指してみてください。


